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「はいさい!」は、なぜ気さくで温かいのだろう。琉球450年の歴史が育てた、沖縄の挨拶のはなし

はいさい!
沖縄シークヮーサー本舗のしもじです!
そして はい「た」い!という挨拶も見たことありませんか?
私たちの読み物やメールマガジンは、いつもこの沖縄の挨拶からはじまります。
遠く離れた場所にいるお客様にも、沖縄の空気を少しでも感じてもらいたい。
そんな気持ちを込めて、ずっと続けてきた習慣です。
「はいさい」という言葉には、不思議なやわらかさがあります。
その背景を辿ってみると、450年にわたって海を舞台に生きてきた、琉球の人々の歴史が見えてきました。
「はいさい」とは? ─ 万能挨拶の起源は謎に包まれている
「はいさい」は沖縄方言の挨拶です。
朝でも昼でも夜でも、場所を選ばず使える、いわば万能の「こんにちは」。
男性は「はいさい」、女性は「はいたい」と使い分けます。

気になるのは、その語源です。
実は、「はいさい」の語源はよくわかっていません。
国立国語研究所の『沖縄語辞典』でも明示されておらず、純粋な琉球方言として記録されているのみです。
琉球王国の時代から庶民の口に馴染んできた言葉ですが、どこから生まれたのかは今も謎のまま。
それでも、温かい響きだけは変わらずに、今の沖縄に受け継がれています。
沖縄の温かさの秘密 ─ 「ゆいまーる」と「いちゃりばちょーでー」
「はいさい」という言葉が生まれた土壌には、沖縄ならではの価値観がありました。
その代表が、次の2つの言葉です。
ゆいまーる ─ 助け合いの精神
「ゆいまーる」は「相互扶助」を意味します。
農作業も、家の建築も、冠婚葬祭も、村全体で支え合う。
その文化が、今の沖縄にも自然なかたちで残っています。
いちゃりばちょーでー ─ 一度会えば皆兄弟
「いちゃりばちょーでー」は、「一度会えば皆兄弟」という意味です。
はじめて会った人でも、縁があって出会ったのだから、家族のように接しようという精神です。

この考え方があるからこそ、沖縄の人々は観光客にも分け隔てなく声をかけ、
「はいさい!」と笑顔で迎えることができるのかもしれません。
世界をつないだ「万国津梁」のこころ ─ 交易で栄えた琉球のものがたり
沖縄の人々がなぜ、初対面の相手ともすぐに打ち解けられるのか。
そのルーツを辿ると、琉球王国の時代にたどり着きます。
沖縄はかつて「琉球王国」という交易国家でした(1429年〜1879年)。
島国ゆえに自前の資源は限られていましたが、先人たちは小さな船で荒波を越え、
中国・日本・朝鮮・東南アジアを行き来する中継貿易で繁栄を築きました。
国全体が一つの大きな商店のような存在、とでも言えるかもしれません。
その気概が刻まれているのが、1458年に鋳造された「万国津梁の鐘」の碑文です。

「舟楫を以て万国の津梁となし」
「世界をつなぐ架け橋になる」。
これは外交の言葉であると同時に、「世界と取引することで生きていく」という、
国としての覚悟のようなものだったと思います。

言葉も文化も違う異国の人々と信頼を築くためには、相手の懐に飛び込む力が必要です。
「いちゃりばちょーでー」の精神は、そうしたさまざまな国の人々と関わる中で自然に磨かれた、先人の知恵だったのかもしれません。
沖縄の温かさは、ただおおらかな気質によるものではなく、世界と渡り合ってきた歴史が心に刻まれているから、ともいえるかもしれません。
「はいさい」に込めた私たちの想い
私たちが「はいさい!」「はいたい!」とお声がけするのは、単なる挨拶ではありません。
- 先人たちが大切にしてきた「人と人をつなぐ心」
- 遠くから来てくださった方を「家族のように迎える温かさ」
- そして、相手を思いやる「おもてなしの精神」
そのすべてが、この一言に込められています。
お客様との関係であっても、一度ご縁をいただいた瞬間から「いちゃりばちょーでー(一度会えば皆兄弟)」です!

次に私たちから「はいさい!」が届いたとき、
沖縄の太陽と風、そして450年の歴史とともに、
あなたへの親愛の気持ちをお届けしているのだと思っていただけたら、とても嬉しいです。
参考
国立国語研究所『沖縄語辞典』(1963年刊行)
万国津梁の鐘(1458年鋳造、沖縄県立博物館・美術館所蔵)
高良倉吉『琉球王国』(岩波新書)、岡本弘道ほか









